特集 情報の開示・共有について考える
情報公開は患者の自立の大前提
辻本 好子
1
1ささえあい医療人権センターCOML
pp.1105-1110
発行日 1996年12月1日
Published Date 1996/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905232
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薬害エイズ問題をはじめ不信感をいだかざるを得ないような医療報道が,毎日のようにマスコミに登場しています.伝統的な医療観が音を立てて崩壊し始め,いよいよ患者の自立が迫られています.
かつて医療現場は封建的な密室,権威の牙城でした.しかし,情報公開という時代の波は,容赦なく医療領域にも押し寄せました.病みきった患部がメスで切り開かれるたびに,私たちは驚くべき癒着の実態や医療の不確実性,限界性といったショックに否応なく向きあわされます.これまでは医者を神のごとくに崇め奉り,義務や責任を放棄して,従順で無知なままに「おまかせします」と身をゆだねてきた私たち患者たちが,できれば知らないままでいたかった真実であり現実なのでしょう.
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