特集 退院改革に取り組む
なぜ退院がスムーズにいかないのか?
森山 美知子
1
1山口県立大学看護学部
pp.986-992
発行日 1996年11月1日
Published Date 1996/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905207
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はじめに:退院をめぐる現状
日本看護協会「専門看護師導入システム検討委員会」が最近,東京都内と神奈川県下8か所の総合病院および,がん専門病院に勤務する看護婦(士)109人および,婦長111人に対して行なった調査の結果1),看護婦より「患者ケア上の困難な問題」として「退院援助」が最も多くあげられた.婦長においても同様な傾向がみられ,「退院に向けての援助」は「患者ケア上の対処困難な問題」の中でも上位にあることがわかった.
事実,慢性疾患患者や高齢患者が増え,家族の受け入れが難しく,なかなか退院に持ち込めない症例や地域の受け皿が少なく自宅に帰そうにも帰せないケースにも出会う.退院と聞いたとたん,パニックに陥り頭をかかえる家族も目の当たりにしてきた.突然,退院と言われ(医療者はそう感じていないが大半の家族はそのように感じている),あわてて知人に相談し,施設に手あたり次第あたり,ベッドが空くのをイライラして待ちながら,結局,自宅からも遠い,患者の機能レベルに合わない老人病院に入れてしまった,ということは日常多々あることだろう2,3).
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