研究と報告
精神科病棟における不眠に関する実態調査
小川 美恵子
1
,
磯田 千栄
1
,
佐藤 三和
1
,
沢崎 温子
1
,
本田 弘子
1
,
松田 美名
1
1桜が丘記念病院3-4病棟
pp.623-626
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905122
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はじめに
精神疾患をもつ患者は,睡眠障害を訴えることが多く,最近の国際分類(ICSD)では,精神疾患患者の睡眠障害は基本的には精神症状との関連で考えられている1).しかし実際には,病気の苦痛のほかにも,入院に伴う生活環境の変化や,治療者や他の患者との人間関係など,身体的,精神的,社会的なさまざまな要因で睡眠障害が引き起こされやすくなっている.そのために当病棟でも,入院している患者のほとんどに,何らかの睡眠障害が認められる.
睡眠障害とは,「睡眠の量・質が持続的に減少したり不安定になることで,そのために心身の状態や社会生活に支障が起こっていると判断される場合」2)といわれており,不眠はその1つの症候群である2).そして不眠は,「あくまでも本人が感じる主観的症状」3)として患者の訴えによって,看護者に知らされるのが通常である.そのため患者の不眠の訴えと,看護者の認識にズレが生じやすく,加えて疾患やその程度により,言葉で正確に表現・伝達されないこともあって,「不眠の苦しみをわかってもらえない」という思いを患者にいだかせかねない.
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