臨床実習改善の経過・1
実態調査からはじめて
東北大学医学部付属看護学校
pp.55-60
発行日 1964年5月1日
Published Date 1964/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905296
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1.はじめに
看護学校における臨床実習が看護教育全体のなかできわめて重要な位置を占めることはいまさらいうを待たない。臨床実習は,知識技術の練磨と的確な処置判断の行動と相まって,看護職にたずさわるものとしての調整を,自他両者から教育訓練される実践場として,看護教育上おおきな位置を占める。しかるに看護学校の現状はこのような実習の緊急度にたいしてはなはだ多くの欠陥をもっていることはこれまたすでに周知のことがらであろう。その理由として最初にあげなければならぬことは,看護学校がその発生の過渡において,当該病院の必要とする看護婦を自家養成するために設けられたという制度上の遺産と,教育機関のもつ独立した目的から相対的にせよ派生する要求とが対立するということである。この渦巻の中心が学生の臨床実習場たる病院なのである。くわえるに最近の病院における業務の複雑化および慢性化した看護要員の不足にともない,学生指導のために特定の人員と時間を提供することはほとんど不可能の状態であり,実習そのものが病院の繁雑なる業務にまきこまれ,当初の実習計画を押しすすめるのに大きな障害となっている。第3に臨床実習指導の専任者がいないこと。過去何年かにわたり国立大学教務主任会議において議決事項として文部省に上申を続けているが,いまだ実現にいたらない。さらに従来の保助看法によるカリキュラムが臨床実習については週数のみをうたい,時間数の規定を全く欠いていることである。
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