連載 公的介護保険VS看護・3
生活支援の局面でなにを提供できるのか—専門職の技術的側面でのアピールを
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.240-243
発行日 1996年3月1日
Published Date 1996/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905036
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はじめに
老後の介護問題への不安
看護婦の圧倒的多数が病院に所属しているためか,公的介護保険についての関心が薄いような気がしてならない.本誌1月号の羽山の論も看護界の発言の少なさを案じている.一方,最近の新聞紙上を見れば,介護問題にふれない日はほとんどないといってよく,筆者の周辺でも,老親や自分自身の老後の介護問題についての関心や不安を語る頻度が高くなっている.責任あるポストに就き,老親介護に直面して職業継続の是非に悩む看護職も少なくない.
(財)経済広報センターが,会社員3371名を対象に実施した調査(1995年1月)1)でも,社会的に重要である家族問題としてあげた3項目のうち,トップが「老親・高齢者介護」であった.選択率は71.8%であり,20歳代から50歳代以上の各年齢層でこれが1位であった.そして,これらの人々のなかには,「夫婦双方の両親介護」や,「面倒を見てくれる制度の促進と,お金のかからない社会保障制度との両立の困難さ」など,将来に対する不安を述べている人が多かったという.
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