連載 老人看護展望—欧米研修より・7
英国の老人医療と福祉制度
阿部 俊子
1
Toshiko Abe
1
1イリノイ大学シカゴ校看護博士課程
pp.710-713
発行日 1995年7月1日
Published Date 1995/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904861
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レジデンシャルハウス
ロンドン郊外のレジデンシャルハウスを訪問した.15人の入居者だけの小さなハウスである.この15人の入居者に対して,スタッフは介護者,調理,掃除などを含めて12人.ここは,医療的介助は必要ないが,日常生活に簡単な援助(入浴など)の必要な人のためのハウスである.筆者の訪問した小さなレジデンシャルハウスは民間の住宅地のなかにひっそりとある.このように,ロンドン市内には地域に密接した小さなレジデンシャルハウスがたくさんあるので,自分の自宅だったところから離れて施設に入るという感覚が薄れるということだった.
レジデンシャルハウスは3食つきで,全室個室が原則だ.このハウスは民間の家を購入して改造したものなので,部屋はさまざまの大きさがあるが,一部屋15畳ぐらいの広さが平均的にあった.浴室,手洗いは共同,食堂は居間として,皆のコミュニケーションの場でもある.部屋の掃除もしてもらえる.ここの入居者は基本的に医療的援助のいらない人だけであるが,必要なら家庭医が入居者の必要に応じてレジデンシャルハウスを訪問する.必要なら毎日でも訪問診察するとのことだった.
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