連載 老人看護展望—欧米研修より・6
徐々に定着するトランスカルチャーナーシング
阿部 俊子
1
Toshiko Abe
1
1イリノイ大学シカゴ校看護ポストマスターコース
pp.622-625
発行日 1995年6月1日
Published Date 1995/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904842
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スカンジナビア半島のスウェーデン,デンマークの高福祉がなぜ可能だったかを語る時に,小さな国なので国民ニーズが分かりやすい,意志が統一しやすいということがいわれる.スウェーデンは人口が800万人の小さな国である.例えばアメリカで国民のニーズなどを調査したらどうなるだろうか.人種も宗教も文化も異なる人間がアメリカに住んでいる.しかし,医療福祉は人間としての最低限のニーズであるから,普遍的ニーズであるとも言える.では,ナーシングホームの個室は人間の最低限の人権保障として必要か,というと難しい.これも個人の生育環境や社会的ステータスにかかわる問題で,個人の文化度によってニーズは変わるかもしれない.
このニーズ論は査定,調査するのにはとても難しいと言われている.多くの国が保障するところの最低限の人権とはどの程度のニーズなのか.これも多く議論されるところである.
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