特別掲載
今こそ事例研究を—臨床看護の質を高めるために
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.1103-1110
発行日 1993年12月1日
Published Date 1993/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904421
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今日の科学技術の進歩には目を見張るものがあり,とりわけ,診断技術の変わりようはすさまじく,かつての医療の姿をすっかり変え,医師が聴診器や打腱器を持ってゆったりと手順に沿った診察をする場面などがほとんど見られなくなったといってよいと思います.しかし,一方で病む人々の心は癒されないままに,あるいはむしろ医療機器・技術の進歩の中で,かえって病人になってしまう人たちが増えているといった状況もあるような気がいたします.
近代医療の歴史をまとめられた川喜多先生がその著書の中で「忘れてならないことは,医療がその理想である病気の根治を期し得ない場合に,その身体的な悩みの軽減をはかる,そのあたりに看護の一層大きい,重い面がある」1)と述べておられますが,この看護への期待を私は非常に重く受けとめました.
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