現場から 実践レポート
回復期にある心筋梗塞病者の性の様相と性の充実に向けての看護
籏持 知恵子
1
1山梨県立看護大学短期大学部成人看護学
pp.786-789
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904029
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人間にとって性はsexualityであり,sex,genderという側面も含む包括的な概念である.また性は生物学的・社会文化的に規定され,人間同士が絆を築こうとする能力であるともいわれている1).心筋梗塞などの虚血性心疾患には,「死に直結している」「無理はできない」などの疾患特有のイメージがあり,性に対する薬剤の影響や発症後特有の心理過程なども報告されている.性行動などを含めた病者の性はこれら諸要素の影響を受けるといわれている2),3).欧米においては心臓リハビリテーションの一環として,性に関する教育やカウンセリングなどが行なわれているが4,5),わが国の医療現場では,性はプライベートなことと認識される傾向にあり,患者—医療者間でも積極的に語られることが少ない.筆者ら6)が調査した結果においても,看護師は性に関する教育や相談の必要性を感じながらも,その方法や病者の性に関する知識の不足などから十分な看護援助が行なわれていない現状が浮き彫りになり,今後の実践報告などからの知見の蓄積の必要性が示唆された.今回,心筋梗塞発症後の回復期の成人病者の語りから,病者の性の様相の一端を明らかにし,看護への示唆が得られのたので報告する(対象者には研究の承諾を得ており,プライバシー保護のため事例の細部に変更を加えた).
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