研究と報告
緑茶含嗽の有効性—含嗽困難な患児のために
大坪 有希
1
,
関 良子
1
,
赤羽 貞子
1
,
上原 良雄
2
,
近藤 昭二
3
1長野県立こども病院第一病棟看護科
2長野県立こども病院第一病棟検査科
3長野県立こども病院第一病棟形成外科
pp.778-781
発行日 2000年8月1日
Published Date 2000/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903536
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はじめに
薬液含嗽による口腔ケアは,主に化学療法中の患児,口腔内手術後の患児に行なわれている.特に化学療法を受けている患児は,化学療法剤による刺激と免疫抑制状態の惹起により,口腔粘膜炎や潰瘍,口内炎,上気道感染を起こしやすい.さらに,これらの感染症から敗血症や肺炎を引き起こすことも稀ではない1,2).私たちの病棟では,このような患児の口腔ケアに30倍イソジンガーグルによる含嗽を行なってきた.しかし,患児のなかにはその臭いや味への嫌悪,嘔気を誘発するなどの理由から含嗽できない場合も少なくなかった.
最近,緑茶に含まれているカテキンの抗菌,抗ウイルス,虫歯予防の効果や,抗生物質の抗菌力を高める作用が複数の研究者により報告されている3-6).今回の研究では,イソジン含嗽できない場合,この身近な飲料である緑茶でイソジン含嗽の代用が可能かどうか検討した.試験管内実験で抗菌力を比較し,臨床実験で含嗽の効果を調べたので報告する.
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