特集 家族のみつめ方・支え方
【座談会】家族をみつめる私—かかわりを通じて何を感じ,考えたか
柳原 清子
1
,
小倉 由美子
2
,
土橋 一美
3
,
本牧 純子
4
1日本赤十字武蔵野短期大学
2慶應義塾大学病院
3聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院救命救急センター
4栃木県立がんセンター
pp.498-504
発行日 2000年6月1日
Published Date 2000/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903480
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家族と同じ体温のナース
柳原 今日は日々現場でケアをなさっているみなさんに患者さんの家族はどのようにみえるのか,みなさんはどのように家族にかかわっているのかというあたりを率直に話していただければと思っています.
私はこの2〜3年,病気で家族を亡くした方にその体験を伺うという方法で研究を続けています.あるとき,働き盛りの息子さんを亡くしたお父さんからお話を伺ったことがあります.そのお父さんは息子さんに告知をしていなかったために大変悩んだらしいのです.息子さんの状態がどんどん悪くなっていくなかで,周辺の医療スタッフが自分と違う感覚と世界のなかに生きているような感じがして,お父さん自身疎外感のなかで自分の心が凍ってしまうようなさびしさを感じていたんですね.ところが医療者のなかに,その方の表現では「自分と同じ温かな血が流れている」というふうな「体温を感じさせる」ナースが1人だけいたというのです,その話に私はひどく心打たれたのですが,その方が,実は今日のメンバーの1人である小倉さんだったんですね.
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