特集 ターミナルケアにおけるQOL—疼痛コントロールを中心に
—第84回医学書院看護学セミナーより—疼痛コントロールと癌患者のQOL
武田 文和
1,2
1埼玉県立がんセンター病院
2がん疼痛治療とクオリティ・オブ・ライフに関するWHO指定研究協力センター
pp.978-990
発行日 1991年11月1日
Published Date 1991/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900496
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癌患者のQOLと癌医療
QOLという言葉は日本語にうまく訳せませんが,社会学の言葉で,本人がどれだけ毎日の生活に満足しているか,どれだけ幸せだと思っているか,周囲の人とどれだけ協調できているかによってQOLの良否が決まります.他人の基準で決めることではありません.
癌患者のQOLを考える時に,医師や看護婦が患者の生活はこうあるべきだと考え,それを基準にし,それに合っていないとQOLが低いと判断するのは間違いの原因になります.医療は,患者さんのQOLを低めるような因子を除去し,高めるような援助をすることはできますが,その結果について医療が満足していても,患者が不満だったらその患者のQOLは低いことになります.
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