グラフ
老健施設ニューウェーブ—大阪市おとしより健康センターの挑戦!
子安 信行
1
,
前川 マキコ
1
,
学
,
本誌編集室
1大阪市おとしより健康センター
pp.846-851
発行日 1990年9月1日
Published Date 1990/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900203
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1986年にモデル事業として7か所の老人保健施設(以下,老健)が開設されてから5年,その数は本年5月末で306にまで増加した.その増加率は順調である.しかし,その多くが郊外あるいは地方に位置した既存施設併設型であり,独立型を名乗っても既存施設に隣接ないしは連携しているものがほとんど.そんな状況の中で,昨年(1989年)の9月15日に開設した大阪市おとしより健康センターは他の老健とは一線を画すユニークな施設である.
センターが位置するのは,大阪の繁華街ミナミの中心から徒歩10分程度の一等地.地価暴騰のこの節,都会のど真ん中にこのような土地が得られたのにはもちろん訳がある.大阪府医師会は,運営が困難であるとして当初から大都市独立型老健設立が放棄されているような厚生省の構想に納得せず,1987年6月に設置した検討委員会で独自の構想を報告書にまとめていた.この報告書が,人口の過疎化で統廃合された小学校の跡地をいかに利用しようかと考えていた市に届けられ,また大阪市の中でもっとも老人人口が多く,合区により保健所が離れてしまい医療関係施設を求めていた跡地周辺地域の状況と合致し,センターの設置が決定されたのである.その運営は大阪市,府医師会,同市南医師会の3者出資により設立された財団法人による.テストケースという意味合いと弾力的な運営を行なうためという目的による第3セクター方式の選択である.
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