特別記事
—[第72回医学書院看護学セミナー講演録]—今,救急看護に求められているもの—救命救急センター10年の経験から
中村 恵子
1
1杏林大学救命救急センター
pp.161-168
発行日 1990年2月1日
Published Date 1990/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900052
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はじめに
救急医療は医療の原点であると言われながら,少し前までは外科や内科など,診療各科の片隅で行なわれる時代が続いていた.しかし,この10-15年間を見ると,医療の中でも救急部門は,最も飛躍的な発展を遂げた一分野だと言うことができるであろう.その一翼を担う看護の重要性も増してきている.
1979年,私は当院に救命救急センターが設置されると同時に配属の命を受けた.それまで主に胸部外科や集中治療を受ける患者にかかわっていたので,救急患者の看護を行なうことにさほど不安はなかった.しかし,現実は想像したよりもはるかに厳しかった.予定入院との違い,患者・家族の動揺,病態の複雑さ,疾病の多様さなど,様々な違いや戸惑いを感じながら10年が過ぎた.その経験を通して,感じ,観て,実践してきたことをもとに救急看護について考え,何が求められているのかを探ってみたい.
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