論考
―暴力や虐待の被害を繰り返さないために必要な―日本における法看護学教育の検討
山田 典子
1
,
米山 奈奈子
2
,
宮本 真巳
3
,
山本 春江
1
,
リボウィッツ よし子
1
Noriko Yamada
1
,
Nanako Yoneyama
2
,
Masami Miyamoto
3
,
Harue Yamamoto
1
,
Leibowitz Yoshiko
1
1青森県立保健大学
2秋田大学
3東京医科歯科大学大学院
pp.1024-1028
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101358
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法看護学とは何か
法看護学は,ドメスティック・バイオレンス(以下DVと略)・児童虐待・高齢者虐待・性暴力などの被害者から,犯罪被害の法的証拠を科学的に採取・保存し,被害者の人権を守りつつ適切な看護ケアを行なう新たな看護学領域として1990年代から北米で発展してきた.現在はさらに,看護者が検視官等として遺体発見現場で検体の採取を行なう場合と,精神疾患等の影響により重大な犯罪の加害者となった際の患者ケアを行なう場合等がある.
日本においても,犯罪被害者および加害者と法律に関する看護学の発展は期待されるが,大学等の研究教育機関の取り組みは遅々としている.しかし,そのなかでもひときわ目を引くのは,2001年から宮本らが東京医科歯科大学で取り組んだ触法精神障害者に対する触法精神病棟における看護ケアプログラムの検討および実践や,米山らが運営委員を務める「NPO法人女性の安全と健康のための支援教育センター」における性暴力被害者看護師養成コース(2000年)である.また,2008年4月には杏林大学大学院保健学研究科に法看護学専攻分野が設置され,今後の発展が期待される.そこで,本稿では,日本における法看護学教育の検討と今後の課題について述べる.
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