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「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室
池田 正行
1
1国立秩父学園
pp.619
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101293
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「人間は究極の生物兵器である」と言っても,仕事場で,家庭で,そういった事例を嫌というほど経験しているあなたは決して驚かないだろう.その究極の生物兵器の手当てを担当するのが医師だ.つまり,医師とは,手負いとなって攻撃力が高まった究極の生物兵器と常に対峙せねばならない商売である.通常,血を吐いただの,骨が折れただのといった体の傷への対応については,われわれはしかるべき訓練を受けている.対応マニュアルも数多く出ている.ところが,究極の生物兵器たる所以の「感情,言語,行動」に対しては,われわれはきわめて貧弱な装備しか持ち合わせていない.
究極の生物兵器が仕掛ける攻撃がやっかいな理由は山ほどある.まず,弾が飛んでくる方向が一定ではない.病者本人やその家族はもとより,同僚,上司,部下,ひいては自治体議員や地元マスコミからの攻撃に晒されることもある.それでも,直接に自分目がけて来るだけならまだいい.とんでもない方向から流れ弾が飛んでくることもしょっちゅうだ.
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