研究と報告
当院における医薬分業への取り組み
佐藤 太一郎
1
,
中江 良之
1
,
磯村 高安
1
,
吉田 力三
1
,
杉浦 孝
1
,
廣瀬 武
1
,
小林 正則
1
,
石川 好文
1
1医療法人財団新和会八千代病院
pp.51-55
発行日 1995年1月1日
Published Date 1995/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901419
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はじめに
医薬分業が叫ばれてからすでに何年が経過したことであろうか.最近になってやっと機が熟してきたようである.平成2年に厚生省は全国の病院の医薬分業に対する実態調査を行った.我々は当院として医薬分業をするにはどんな手法を採ることが最適であろうかを模索し,実施したので報告する.
医薬分業が喧伝されており,その利点,欠点も色々な立場から報告されてきた.しかし,今から医薬分業を始めようとしたり,または始めたばかりの医療機関からの報告は少ない.我々は実施に当たり,6か月の準備の上,少数例から順次拡大をはかる手法(漸進的医薬分業)をとった.その間,試行錯誤を重ねつつ,色々な点を検討したり,解決せねばならない問題は次のように広い範囲に及ぶことがわかった.すなわち,①患者さんに納得してもらう方法,②受け皿(当面の保険調剤薬局),③地域薬剤師会との連携(面分業に向けて),④院内職員の意思統一(医師,看護婦,薬剤師,医事職員),⑤医療保険の複雑さの克服,⑥薬価差益の検討,などについて検討した.また,一方では当院だけの問題として,⑦外来患者数の増加によって待合いロービーが相対的に狭小になった.⑧投薬剤数の増加により病院薬剤師の相対的不足が迫ってきた,⑨患者サービス向上のため病棟服薬業務を始めたいが人員に余裕がないこと,などであった.
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