書評
認知行動療法トレーニングブック DVD付
尾崎 紀夫
1
1名古屋大学大学院精神医学
pp.104
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101161
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DVDを併用することで関係性の重要性を理解する
認知行動療法に対する関心は,精神科医,臨床心理士のみならず,一般にも広がっており,新患患者から「認知行動療法を受けたい」と言われる場合もまれではない。気分障害,不安障害さらには統合失調症など多様な精神障害に対する治療効果が示され,患者のニーズにも適っているとなれば,認知行動療法をできるだけ臨床場面で活用したい。また,教育を使命としている大学に在籍する以上,認知行動療法を実践できる臨床家を養成することが求められる。そこで,何かよい認知行動療法のテキストはないかと探してきた。
認知行動療法に限らず,精神療法一般に,書物で治療の細部を伝えることは難しい。成田善弘氏は,自著『精神療法の第一歩』(診療新社)で,「精神療法が人と人との出会いであるからには,普遍的に妥当となる精神療法などというものは存在しない」と,精神療法について伝えることの困難さを述べている。しかし,同氏は「自分と患者のかかわり合いの一回性,独自性を尊重しつつ,一方他者の経験との共通性,一般性をも追求しなければならない」と言葉を継ぎ,精神療法にかかわる著書を世に問う意気込みを表明していた。
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