書評
認知行動療法トレーニングブック DVD付
伊豫 雅臣
1
1千葉大学精神医学
pp.204
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101144
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適切な治療モデルをDVDをとおして習得
認知行動療法はうつ病や不安障害をはじめとしたさまざまな障害に有効であることが証明されてきている。欧米では一部の精神障害の治療において認知行動療法は第一選択の治療法と位置づけられることもあり,精神科医や臨床心理士が身につけておくべき,または提供可能な重要な治療法であることが示唆されてきている。実際,わが国の精神医療現場,または心理療法の現場においても近年この治療法は急速に広がってきている。
さて,人は環境や出来事に対して認知し,情動反応や行動が出現する。認知行動療法ではうつ病や不安障害などではこの環境,認知,情動,行動といった基本要素で構成される構造に比較的疾患特有の悪循環する認知行動モデルを過程し,さらに,障害特有のまたはより個人に特化した自動思考を中心とした情報処理過程における非適応的スキーマを明らかとする。さらにそれらを元に具体的な手法,すなわち不安階層表の作成や段階的な暴露など行動分析と行動的治療法を実施し,非適応的スキーマを修正し,悪循環する認知行動モデルを修正する。このような一連の流れを治療者は患者とともに行っていくので,治療者にはモデルやスキーマ,行動分析や行動的治療法の知識と技術が必要であるとともに,個別の患者に対応するための応用力が必要となる。知識は講義や教科書により概念的に理解することは可能であるが,技術は優秀な先人の治療場面に同席するなどの適切な治療モデルに接することがきわめて重要である。
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