書評
がん医療におけるコミュニケーション・スキル―悪い知らせをどう伝えるか
大島 寿美子
1
1北星学園大学
pp.232-233
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101226
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技術としてのコミュニケーションを学ぶ
医療現場のコミュニケーションは共同作業
私は,北海道で婦人科がんのサポートグループを主宰している.そこでよく話題になるのが「医療者とのコミュニケーション」である.例えば「先生や看護師さんが忙しそうで聞きたいことが聞けない」という不満は,がん患者から日常的に聞こえてくる.「セカンドオピニオンを取りたいがそう希望を伝えていいかわからない」という悩みも頻繁に寄せられる.
医療者の心ない言葉や態度に傷ついたとの訴えも多い.ほんの一部を紹介すると,「検査の結果を聞きに行ったらいきなり“進行してしまってうちでは何もできない,ホスピスを紹介します”と言われた」,「抗がん剤の副作用のつらさを訴えたら看護師に“あなたは甘いよ.みんな頑張ってるのに”と言われた」,「痛みを訴えたら“そうあっちもこっちも痛い訳がない”と言われた」,「質問したら“いまはそこまで考える必要はない”と言われた」などといった訴えである.このような医療者の言葉が原因でうつになってしまったり,治療に対する意欲を失ってしまったと語る患者もいる.
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