調査・研究
患者参加型アセスメントツール「痛み計」の取り組み
光行 多佳子
1
,
安藤 詳子
2
,
深谷 陽子
3
,
高木 仁美
4
,
水野 敏子
5
Takako Mitsuyuki
1
,
Shoko Ando
2
,
Yoko Fukaya
3
,
Hitomi Takagi
4
,
Toshiko Mizuno
5
1元 名古屋大学大学院医学系研究科博士前期課程
2名古屋大学医学部保健学科看護学専攻
3名古屋大学医学部附属病院
4愛知県がんセンター愛知病院
5愛知学院大学歯学部附属病院
pp.80-86
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101187
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はじめに
がん患者に対する緩和ケアでは,患者・家族を中心とし,患者の主体性を尊重して多職種の医療スタッフがチームを組んで関わることが重要である.特に患者の疼痛を緩和するためには,患者が自分でしか感じることのできない苦痛を「どんなふうに」「どの程度」と自己評価して他者に表現できることが,疼痛緩和の第一歩となる.しかし,実際の現場では,「がん性疼痛に対する知識の欠如」「鎮痛薬使用に関する誤った認識」「がん性疼痛に対する“あきらめ”」「良い患者は疼痛を訴えないという認識」など患者の躊躇や,「知識に裏付けられた疼痛アセスメントの欠如」「豊富な経験に基づいた臨床実践能力の欠如」などの医療スタッフの問題により,患者の疼痛が医療スタッフに十分伝わらず,情報がケアに活かされないことも少なくない1-4).
このような状況に対しアセスメントツールとして「痛み計」が開発され,一般病棟に入院中のがん患者を対象に臨床試行が行われ,痛みのコントロールに役立つ有用な道具としての可能性が示唆された5,6).
本研究では,痛み計を緩和ケア病棟に入院中の終末期がん患者1名に試みた例を通し,患者と医療スタッフの視点から,患者参加型のアセスメントツールとしての「痛み計」の有効性を検討する.
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