特別寄稿
高齢者のアセスメントツールを整理する
森山 美知子
1
1山口県立大学・看護学部
pp.235-244
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901640
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はじめに
高齢者の医療の現場に,リハビリテーションの概念を取り込みながら,問題解決やニーズ把握を行ない,多職種でのアプローチの考え方を発展させたのは英国の老年科医マージョリー・ウォーレン,1930年代であった.彼女は,①より正確な診断,②適正な医学的治療,③治療成績の向上,④機能や生活の質の向上,⑤適切な生活の場の選定,⑥不必要なサービス利用を減らす,⑦長期間のケースマネジメント体制を整えることを目的とした「高齢者総合評価」(CGA;Comprehensive Geriatric Assessment)を打ち出した1).
続く米国でも1950年代にナーシングホームのケアの質の不適切さが指摘し始められ,質の向上を狙って1970年頃より高齢者を多角的・包括的にアセスメントするツールが開発され始めた.この中でも特に,妥当性も信頼性も高く,高齢者の機能レベルと提供されるサービスの質の改善の点においてすぐれた成績を上げた「高齢者ケアプラン(MDS-RAPs;Minimum Data Set/Resident Assessment Protocols)」は1991年10月より米国内のほぼ全てのナーシングホームで実施が義務づけられるようになったといわれている2).
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