連載 HIV/AIDSケア 再考・4
看護管理―コントロールとマネジメント―HIV/AIDSにおける医療関連感染防止対策
沼 直美
1
,
紺野 和子
2
1国立国際医療センター
2国立国際医療センター5階南病棟
pp.670-675
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101046
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感染管理 沼直美
HIVの感染管理上の特徴
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は,血液,精液,腟分泌液,母乳に多く含まれており,一般集団では,性感染症もしくは母子感染によって感染するウイルスです.保健医療施設においては,血液や体液による暴露事故によって感染する「血液媒介ウイルス」として位置づけられています.
血液媒介ウイルスは,HIVのほかに代表的なものとして,B型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV)があり,1回の暴露事故による感染率はHBe抗原陽性でのリスクが最も高く,HIVは針刺しによる経皮暴露で0.03%,粘膜暴露では0.09%となっています(表1).しかし,HIVによる感染成立の可能性は低いものの,1000回の事故につき3人は感染が成立するわけで,当事者にとっては0か100の可能性になります.また,HBVのようにワクチンによる予防は確立されていませんので,暴露事故を起こさないための予防策の徹底が重要であり,不幸にして事故を起こした場合の対策をすべての医療従事者に周知しておくことが望まれます.また,HIV感染者には,HBV,HCVの重複感染者も多く,血液媒介ウイルス全般に対する対策の徹底が必要となります.
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