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I.はじめに
今回のテーマは古くて新しい重要な研究課題であり,とくに抑制系の臨床的な意義は最近注目されているところである。発作の抑制系を想定する試みはかなり以前から見られ,Jungが提唱した「視床—尾状核抑制系6)」もその一つである。その後,Mutani20),La Grutta9),Walkerら45)も同様の成績を報告している。本邦でも駒井は,辺縁系—視床からなる促進系と視床—基底核からなる抑制系を想定している。そして,両系のバランスにより辺縁系発作と全汎化けいれん発作のいずれもが起こりうると述べている8)。また宮坂は,てんかん焦点部位の違いで促進,抑制のされ方が異なることを指摘した。網様体と視床下部の賦活系が,新皮質の発作活動には促進的に,辺縁系のそれには抑制的に働らくと述べている15)。
抑制系に関するこのような仮説は,その脱抑制からてんかん発作発現や全汎化を説明する試みとして提唱されたものである。われわれもこの抑制系をめぐって,キンドリングを用いて研究を進めてきた。それは,上述した発作発現における脱抑制仮説の立場からだけでなく,てんかんの精神病状態と発作頻度の間に見られる逆相関,あるいは強制正常化の神経機序に,抑制系が積極的に関与している可能性に注目したためである。与えられた主題について,今回はキンドリングを中心に,述べてみたい。
Recent evidences in monosynaptic neurophysiology on experimental models of epilepsy suggest a difference in underlying mechanism between acute or subacute model and such chronic model as kindling preparation. Since epilepsy is a chronic disease with recurrent epileptic attacks, the present thesis is discussed according mainly to the recent evidences in kindling studies by us and others.
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