調査・研究
脳挫傷により器質性精神障害をきたし対応困難となった創外固定患者の看護
中田 智美
1
,
高田 好子
1
,
山口 恵子
1
,
藤井 辰子
2
1石川県立中央病院3病棟5階
2石川県立中央病院3病棟
pp.152-157
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100864
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
頭部に受けた外傷で脳を損傷する外傷性脳損傷は,年間人口10万人当たり27人の割合で発生している.外傷の原因は約50%が交通事故で最も多く,外傷性脳損傷患者のうち,20%に中等度から重度の脳機能障害が残る結果となっている1).
A氏は交通外傷により,右下腿骨開放骨折と脳挫傷後遺症による器質性精神障害と診断され,その治療を整形外科病棟で受けた.A氏は,右下腿骨開放骨折から骨髄炎を併発し,強い疼痛が持続した.また,器質性精神障害の症状と思われる易怒的・過食の問題もあった.特に易怒的・過食・疼痛コントロールの不良に対してはその対応に困難を感じ,看護の方向性を見出せない時期があった.一般病棟において,精神的な問題により対応困難となった事例はいくつかあるが2―5),A氏のように脳挫傷により器質性精神障害をきたし対応困難となった創外固定患者の事例は見あたらなかった.
そこで,A氏の経過を対応困難となった精神症状とその行動に焦点を合わせて振り返り,どのような看護ケアがなされたのかを分析した.患者の状況および看護ケアの内容は,診療録を資料とした.その結果,脳挫傷により器質性精神障害をきたし対応困難となった創外固定患者の看護にいくつかの示唆を得られたので報告する.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.