特集 口腔乾燥症のWhy&How
口腔乾燥症のアセスメント
診断と評価
柿木 保明
1
1国立療養所南福岡病院歯科
pp.1171-1174
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100833
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口腔乾燥症における臨床症状は,水分の浸透圧や全身疾患,薬剤などとも関連しており,そのほとんどは安静時の症状である.したがって,診断と評価にあたっては,これらの点を理解して行なうことが重要である.
これまでの口腔乾燥症に対する検査は,ガムテストやサクソンテストなど,シェーグレン症候群の診断方法を準用した咀嚼刺激による唾液分泌量評価が中心であった.シェーグレン症候群は,外分泌腺における慢性炎症を病変の主体とする自己免疫疾患とされ,唾液分泌量検査以外にも,口唇小唾液腺の生検や耳下腺唾液の造影,涙液の検査といった検査を行なう(表1)1, 2).
しかし,一般臨床でみられる口腔乾燥患者は,シェーグレン症候群ではない場合がほとんどで,安静時唾液の分泌量低下と関連している症状が多いことから,安静時唾液分泌状態や口腔乾燥度を評価することが重要となる.とくに,要介護高齢者などでは,咀嚼や吐唾による唾液検査は不可能であり,口腔機能や全身状態,知的レベルに依存しない唾液検査が望まれる(表2)1).
実際の臨床の現場における口腔乾燥症の診断は,自覚症状,臨床診断基準,安静時唾液量,粘膜湿潤度,口腔粘膜内の水分量,曳糸性検査が簡便である.これ以外に,必要に応じて刺激唾液量の検査やシェーグレン症候群の鑑別診断を行なう.
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