特集 口腔乾燥症のWhy&How
口腔乾燥の基礎知識
病態
柿木 保明
1
1国立療養所南福岡病院歯科
pp.1158-1160
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100830
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口腔乾燥症に対する対応では,その病態について理解することが必要である.単純に,水分が足りないから口が乾燥すると考えずに,種々の因子について検討すべきである.
唾液分泌
唾液は,耳下腺,顎下腺,舌下腺の3大唾液腺と小唾液腺から分泌され,1日の分泌量は約1-1.5Lとされている.しかし,分泌量は刺激される神経や細胞の種類,刺激の強さ,その組み合わせによっても著しく変化するので,個人差が大きい.季節変動では夏が少なく,性別では女性が少ない1).唾液の分泌様式は,安静時唾液と食事などの刺激によって分泌される刺激唾液とに分けられる.唾液腺からの唾液分泌は,交感神経および副交感神経により調節されている.延髄の上下唾液核を起始核として耳神経節および顎下神経節を介して,副交感神経系の唾液腺支配があり,漿液性唾液分泌を促進する.一方,胸髄側核を起始核として上頸神経節を介する交感神経系の支配により粘液性の唾液が分泌される2).
唾液の成分は,ほとんどが水分であるが,消化酵素,抗菌物質,成長因子,サイトカイン類などさまざまな生理活性物質を含んでおり,口腔組織だけでなく,他の臓器,組織に及ぼす影響が生理的要因と考えられている1).
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