特集 これでは子どもが守れない!? 小児看護の“危機”とは何か
我慢を強いられる子どもと家族
江本 リナ
1
1日本赤十字看護大学
pp.643-646
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100753
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
子どもの疾病には急性疾患による緊急入院を必要とするものが多く,入院直後から集中的な看護が必要とされる.また看護師は,授乳,排泄,食事,清潔といった日常の世話の多い乳幼児や緊急度の高い子どもに多くの時間をとられ,病態が落ち着いた子どもや日常生活習慣がある程度自立している子どもや親のもとへ足を運ぶ時間が少なくなってしまうのが現状である.
しかし,医療者がかかわる子どもと家族の実像は,人にうまく伝えられるような言葉を持ち合わせていないために,気持ちや要求を充分に表現できない乳幼児であったり,感情や要望を自分の内に隠してしまう術を身につけた学童や思春期の子どもたち,また,医療者への遠慮や気遣いから要望を伝えられない親たちなのである.そして,秘めた声が届かないために,さまざまな場面で子どもや家族が我慢を強いられる場合がある.ここでは,筆者のこれまでの体験から得た子どもや家族の思いをいくつか紹介し,小児看護が抱える課題を探ろうと思う.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.