特集 実例に学ぶ患者アドボカシー
看護師に期待する「患者アドボケーター」としての役割
渡辺 恵
1
1国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター
pp.526-531
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100731
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「患者アドボカシー」の目指すもの
アドボカシーは「誰かの味方をする」「誰かの権利を擁護する」「誰かのために主張する」という意味,アドボケイトまたはアドボケーターはこれを実践する人,つまり「権利の擁護者」という意味1)になる.
「患者の権利擁護」という考え方は,1960年代後半から米国において,消費者運動を背景に広がり,1966年にニューヨークのある病院で「患者代理人制度」が始まった2).このような取り組みが次第に,「患者中心の医療」に対する国民のニーズへと発展し,1972年にアメリカ病院協会(AHA)が『患者の権利章典』を作り,70年代後半には病院内に「患者の権利擁護職員」をおくようになった.この専任職員が病院や医療チームと患者をつなぐ調整役となり,医療者と患者がきちんと話し合い,医療者が患者のために何が重要か把握できるようになった.
このように,「患者の権利擁護」は,「患者中心の医療」を実現することを目指している.著者は,「患者中心の医療」を,患者が自分の治療について正しく理解し,メリットもデメリットも理解したうえで決定し,その決定に患者として責任を持つこと,さらに,医療者が責任遂行のための患者のニーズに可能な限り応えながら行なわれる医療だと考えている.
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