連載 鵜の目タカノ目ケアマネの目・11
「ケアをしない」ケア
高野 龍昭
pp.466-469
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100448
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ターミナルケア――私たちは終末期というと,とかく末期がんの患者さんたちへのなにか特別な対応,たとえば疼痛管理などを連想しがちです.しかし在宅では,がんの患者・利用者さんに限らないさまざまな状態の人が自然に看取られ,同時に周囲の人たちに有形無形のたくさんの気づきを遺して生涯を終えることも少なくありません.今回ご紹介するリュウジさん(仮名;93歳・男性)は,そんな利用者さんの1人.私に「ケアの本質」を考えるきっかけを与えてくれた和尚さんです.タカノ自身,ケアマネとしてその最期に接し,いろいろなことを学びました.その一端をみなさんにお伝えしましょう.
1回目のSOS!
リュウジさんは大きなお寺の住職さんでした.若いころは各地で布教の説法をする高名な僧侶だったそうです.80歳のとき長男にあとを譲ったとのことで,私と出会った90歳のころはご隠居の身.でも,かくしゃくとして威厳を保ち,背筋はいつもピンと伸びています.
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