特集 糖尿病看護とバーンアウト 「挫折」を宝に!
糖尿病ケアにまつわる2つのバーンアウト―挫折体験を力に
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
pp.114-117
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100394
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医療従事者にとってのバーンアウト
ある管理栄養士の話
私は1981年に大学院を修了しました.その頃の私はなりたての栄養士で,学んだばかりの山ほどの知識を患者に提供することに情熱を燃やしていました.大学院の授業では,糖尿病治療に関連した講義はたった1つしかなく,そこにこれから出会うであろう糖尿病患者に必要なことがすべて含まれているものと私は考えていました.そこで講義される技術とは,患者のカロリー処方をしたり,食事プランの変更に対応した計算をしたりするものだったのです.(中略)私はそれらを計算器が火を噴くようなスピードで作成できるようになっていました.ですから,大学院を終えたあと,初めての保健施設での私の受け持ちの1つが糖尿病であると聞いても,十分準備はできているという自信がありました.
しかし,現実の社会に出てみると,私の自信はたちまち消えてなくなったのでした.ほとんどどの患者も,私のすばらしい食事プランに従ってくれなかったのです.(ベティ・ブラッケンリッジ)
これは現在米国で糖尿病管理・教育センター専門家教育部長をしている方の回顧談1)です.このような体験を多くの糖尿病診療にかかわる方が一度は経験されているのではないでしょうか.
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