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はじめに
退院支援の目的は,患者・家族が退院後も自立した自分らしい「生活の継続」を支援するとともに,病院は患者を入院させたならば,責任をもって退院支援を行ない,地域の社会資源につなげるという責務を担うことである.本稿では,退院支援を「患者・家族の主体的な参加のもと,退院後も自立した自分らしい生活が送れるように,教育指導を提供したり,諸サービスの活用を支援するなど,病院内外においてシステム化された活動・プログラムである」1)と定義する.
退院支援は病院内外における取組みではあるが,医療制度改革や診療報酬改定の影響を受けてきた経緯がある.特に平成18年度の診療報酬・介護報酬の同時改定は,制度改正と一体的に実施されたことが大きな特徴であった.過去最大の診療報酬マイナス改定(全体:3.16%)においては,医療連携や退院支援関連のシンボル的な診療報酬であった紹介率を要件とする入院基本料等の加算※1や退院指導料等が廃止され,関係者を驚かせた.その一方で,「在宅療養支援診療所」が新設されるなど,24時間・365日の在宅療養を支援する体制が評価された.
本稿では,現在国会で審議中の医療制度改革関連法案(特に医療費適正化計画)や,すでに始まっている介護保険制度の改革に触れながら,医療連携・退院支援に関連する診療・介護報酬改定を整理し,今後求められる退院支援のあり方について私見を述べる.
また,筆者は平成16年厚生労働科学特別研究事業「在宅療養促進のための訪問看護のあり方に関する研究」(主任研究者:伊藤雅治)の分担研究として「退院調整看護師養成プログラム作成に関する研究」1)を担当し,退院調整看護師養成のための基準化したプログラムを作成した.看護師が行なう退院支援にはどのような特徴があるのか,退院支援者として求められる役割と機能について報告する.
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