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数値で測りにくい看護実践の成果をとらえたい
陣田 聖マリアンナ医科大学病院(以下,当院)の看護部では,今年度は課題の1つとして「セルフケア能力を高める」を挙げています.セルフケアは,慢性期の概念として受け止められがちですが,けっしてそんなことはありません.世界中で医療費抑制政策が進められている現在,急性期の病院では在院日数が短縮され,患者さんは病気が完治して退院するのではなく,病気とともにお帰りになります.患者さんのセルフケア能力を高めていくことは,これからの看護師に必要な,大事な能力ではないかと考えています.
松本 私が担当している院内教育は,看護実践能力を高めることが目的です.当院は1000床を超える大学病院として,また地域の基幹病院として,地域医療と高度専門・救急医療を提供する役割と機能が期待されています.しかし,看護職員の在職年数は平均5.5年と短く,経験年数1~3年目が50%を占めているため,若い看護師たちに焦点を定めたエキスパート育成が不可欠です.そこで,マリアンナ認定看護師コース(Marianna Expert Nurse;以下,MENコース)という院内認定制度を設け,特に力を入れる分野として,現在はクリティカルケア,緩和ケア,感染管理,セルフケアの4コースを設けています.セルフケアMENコースの目的は,患者の意思決定への支援とQOL向上に向け,適切な指導教育を実践・推進できる看護師の育成です.
本舘が紹介した事例(→p.692)は,6か月の実践後に修了認定申請として提出された課題レポートをまとめなおしたものです.ここに出ている“いい気づき”を,なんとか次につなげたいと思い,陣田に相談しました.
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