ぱんせ
―『アクティヴ・インタビュー』(ジェイムズ・ホルスタインほか著,山田富秋ほか訳)―シンプルに「語ること」を「聞くこと」で生まれる物語
矢原 隆行
1
1福山市立女子短期大学
pp.380-381
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100138
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“当たり前のこと”を見つめ直す
「語られること」について気になっている.
それは社会学者として,数年来「インタビュー」というかたちで実に多くの方々(主には医療や福祉の場で対人ケアにかかわる方々)の印象的なお話をうかがってきたためかもしれないし,地元ボランティア団体「チャイルドラインびんご」のアドバイザーとして,子どもたちからかかってくるさまざまな電話を受けるボランティアの方々からお話をうかがうなかで,そのいくつかの語りについて今も思いを巡らせているためかもしれない.あるいは,連日私の研究室で(たいていは私を置き去りにして)繰り返される学生達のよもやま話も,きっと無関係ではないのだろう.
もちろん,そうした個人的な経験に引き寄せて語ることをしなくとも,私たちの多くは,日々さまざまな場で,さまざまな相手と語り,聞くことをごく自然に行なっているし,風邪で声が出なくなったり,言葉の通じない外国に行ったりしない限り,当たり前のこととしてそのありがたみを感じることさえあまりないのかもしれない.けれども,ごく自然に行なっていることでも,あらためて考え,表現するのはずいぶん難しいというのは,珍しくない(自転車に乗ることだって,歩くことだってそうだ).
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