連載 悩めることも才能だ!―宮子あずさのお悩み外来④
「死にたい」という言葉の重みに耐えかねて……
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.362-363
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100066
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- 文献概要
身寄りのない四肢麻痺の患者さんに「このままであと何年生き続けるのだろう.もう死んでしまいたい」と言われ,絶句してしまいました.彼は寝たきりで,回復の見込みはありません.
患者さんの生命を守ることが看護の仕事だと思ってきました.しかし,命を長らえることがつらい様子を見ていると,「死なせてあげたほうがいいのではないか」という気持ちが出てきてしまいます.今度,「死にたい」と言われたら,どう言葉をかけてあげたらよいのでしょうか.人間に死ぬ権利はあるのか.そんなことまで考えてしまいます.こんな私は,ナースとして失格なのかもしれません.(20代女性・病棟)
いろいろと思い悩むご様子が,文面からひしひしと伝わってきます.患者さんの思いとしっかり向き合えば向き合うほど,患者さんにとっての幸せを思い,悩みが深まるのでしょうね.
重度の障害や,苦痛が強い終末期の患者さんに対して,私たちは時折こうした悩みをもつものです.私も似た体験があります.なかでも忘れられないのは,内科病棟で働き始めて3年くらい経った頃に出会った,80代の女性でした.
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