特集 死産・流産のケア
援助者である助産師・看護師をケアする大切さ
福田 紀子
1
1横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター看護部・リエゾン精神看護専門
pp.741-745
発行日 2002年9月25日
Published Date 2002/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903496
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はじめに
胎内に宿る子どもの,もしくは生まれたばかりのわが子の突然の死を告げられた時,親たちは言葉に言い尽くせないほどの強い衝撃と深い悲しみを体験します。その親と家族をケアする助産師,看護師も同様にショックや悲しみ,不安,葛藤を体験することになります。悲しみにくれる人々に助産師・看護師としてお手伝いできることは,その方々の傍らにしっかりと存在し,その気持ちを受け止めていくことであると私は考えています。しかし子どもの死に直面した助産師・看護師自身が,自らの心の中に生起する様々な感情,葛藤を抱えながら女性たちをケアすることは,とてもエネルギーがいることです。自分の様々な感情に対処するために心のエネルギーの大半を費やしてしまうと,子どもを亡くした女性やパートナー,そして家族の傍らにしっかりと存在することが時に困難になってしまいます。ですから助産師自身が自分の感情と向き合い,精神的に安定をしていることが,悲しみにくれる方々へのケアを行なうための大前提であると考えています。
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