特集 死産・流産のケア
杏林大学病院の実践—看護方針の確立で,しっかりケアができるようになった
高崎 由佳理
1
,
福井 トシ子
1
1杏林大学医学部付属病院総合周産期母子医療センター
pp.732-737
発行日 2002年9月25日
Published Date 2002/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903494
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
当杏林大学医学部付属病院では9年前より,死産や流産で赤ちゃんを亡くされた両親に対して,「悲嘆プロセス」を十分にたどることができるよう,援助の看護方針を明確にし援助を行なうようになった。
看護方針を明確にする以前は,赤ちゃんが亡くなったという事実を受けとめてもらうことよりも,母親から赤ちゃんを切り離すことが回復のために必要であるという考えのもとでケアを行なっていた。しかし,この介入のしかたでは,退院する母親の顔は悲しみにくれたままで,心が閉ざされているように見えた。そうした場合,わが子に対する言葉が聞かれることはなく,なにかが大きく違っているように思われた。明確な看護方針がなく,喪失を体験し危機にある人へのケアやサポートが不十分であることを認識せざるをえなかった。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.