特集 1か月健診までのお母さんの健康と生活
産後の家族計画相談の実際
清水 敬子
1
1(社)日本家族計画協会クリニック
pp.900-904
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903434
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はじめに
家族計画の目的は,親としての責任を自覚して,子どもを産み,育て,幸せな家庭を築いていこうということである。そのためには,夫婦の健康状態や年齢,子どもの数や出産間隔,家庭の経済などを考えて,よりよい状態のもとで,すべての子どもは待ち望まれた子(Every Child aWanted Child)として産むということである。家族計画は,子どもの数や産み方だけを問題にするのではないが,出生だけに絞れば,すべての妊娠を計画的にすること,つまり計画妊娠といってもよい1)。
1995年の人口動態統計によれば,95年の出生数は1,187,067人,合計特殊出生率は1.43であり,初婚年齢の高年齢化も更新し「晩婚,晩産」が少産傾向に拍車をかけている。かつて女性は結婚して子どもを産んで一人前という扱いをされ,自らの意志で妊娠,出産をコントロールすることができない時代が長く続いた。しかし,この現状をみる限りこの価値観は崩れつつあり,「産む」,「産まない」という選択を女性自身がし始めているとも思える。一方では子どもを産み終えた30歳以上の女性の中絶件数は全体の60%を越えている。これは「産まない」という選択が必ずしも確実な避妊行動に結びついていないことを意味するものといえる。
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