特別記事
助産婦のための緊急避妊講座
北村 邦夫
1
1(社)日本家族計画協会クリニック
pp.720-725
発行日 2001年8月25日
Published Date 2001/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902708
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はじめに
経口避妊薬(ピル)にしろコンドームにしろ,それぞれに一長一短があって,100%安全で確実な避妊法はない。しかも,セックスという行為の特殊性から,冷静沈着な態度で避妊を実行することが困難なことが少なくない。日本人が広く使用しているコンドームについても,破損や脱落,装着の誤りなどによって,セックスの場で,天国から地獄へと落とされた経験のあるカップルは相当数に上るだろう。
「緊急避妊法」は,避妊しなかった,避妊できなかった,避妊に失敗した,時にはレイプされたなどの場合に,望まない妊娠を回避する最後の避妊手段として,高い評価を受けてきた。英語のEmergency Contraception(EC)の訳で,性交後避妊(Postcoital Contraception)とかモーニングアフターピル(Morning-after Pill)とも呼ばれている。わが国では,もし運悪く妊娠したら中絶すればいいと,中絶に寛容な風土があるためか,医師や助産婦の間でも緊急避妊法に対する関心が殊の外低い。一方,フランスでは2000年1月に,イギリスでは2001年1月から,十代の望まない妊娠防止対策を前進させるために,医師の処方箋を必要とせずに,薬局で簡単に手に入れられるOTC(Over the Counter)薬に指定した。
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