特集 妊娠中毒症
妊娠継続の中断を余儀なくされた妊産褥婦へのケア
落合 直美
1
,
永松 文
1
1杏林大学医学部付属病院総合周産期母子医療センター
pp.579-584
発行日 2001年7月25日
Published Date 2001/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902682
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
当総合周産期母子医療センターでは,母体搬送を受け入れ,ハイリスク妊産婦の治療,低出生体重児の集中治療を行なっている。すでに他の施設に入院し治療を行なっている妊婦がさらに集中治療を要し,分娩の時期の決定や出生児の集中治療を要する時にも搬送される。それらの妊婦は,意に反して入院施設の変更を余儀なくされる。
ハイリスク妊産婦のケアの中でも,特に入院を必要とする妊娠中毒症合併妊婦のケアは難しい。妊娠経過によって分娩様式や分娩時のケア,さらには産褥期へとすべてかかってくるからである。妊娠28週未満に発症した妊娠中毒症は,重症化しやすく,児の子宮内発育遅延や,胎児仮死を起こしやすい。また,HELLP症候群へと進行する場合が多い。治療の効果を得ることができず,症状が悪化する場合には,妊娠継続の中断が唯一の治療となる。妊婦の意に反して病院を変更し妊娠継続を中断されるという事態は,妊婦やその家族にとって思い描いていた妊娠,分娩とは隔たりが大きく危機的状況であり,葛藤は大きい。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.