読者応募論文・2 本当の自然出産に出会い，いのちの力強さを知る

フィリピン・ミンドロ島でのミッション体験

　1982年の一時期，私はフィリピン・ミンドロ島の西部の山村に住んだことがある。ミンドロ島は首都マニラのあるルソン島の下に隣接しているのだが，船で2時間隔たっただけの島なのに，まるで別の国であるような錯覚を起こすほど，人も文化もマニラとは違っていた。

　フィリピンには，今でもあちこちの地方に少数民族と呼ばれる人々が住んでいる。ミンドロ島にはマンギャン部族の人々が住んでいた。彼らはこの島の原住民でありながら，一般市民に土地を奪われ，不便な山地に追いやられている。このような状況にあるマンギャン部族の人権を擁護するため，ドイツ人のシスター・マグダレーナがマンギャン・ミッションを引き受けていた。シスターがマンギャンの定住地区にセンターを開設して10年たったころ，私はミッション体験のために合流させていただいた。