Medical Scope【最終回】
サイトメガロウイルス(CMV)の母子感染(2)
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.1091
発行日 2000年12月25日
Published Date 2000/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902553
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先月号で述べたように,経産婦のCMV初感染は,先に生まれている子供からの感染がほとんどです。では,初妊婦のCMV初感染はどのような経路で起こってくるのでしょうか。初妊婦ですから子供はいないので,経産婦のような感染経路は考えられません。もっとも多いとされる初妊婦の感染経路はセックス,つまり性行為からの感染なのです。すなわち,夫の精液中にCMVがいるということになります。
CMVというウイルスは他のウイルスとちょっと違った点があると言われています。ウイルスは一般に単独で,自分だけでヒトの体液や組織内に生存していることはありません。自分が生きていくにはヒトの細胞が必ず心要なので,CMVも一般的にはリンパ球などの細胞の中に入って生きていき,増殖していきます。しかし,CMVの一部のものはリンパ球などのヒトの細胞の中には入らないで,自分単独でヒトの体液,この場合夫の精液ですが,そのなかで生存していけるということもわかってきました。
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