特集 助産婦の100年—世紀を超えるもの
助産婦は正常産の専門家
佐藤 香代
1
1九州看護福祉大学看護福祉学部看護学科
pp.1037-1043
発行日 2000年12月25日
Published Date 2000/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902543
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
1998年春,私は留学のため英国へ旅立った。そこで何気なく購入したマタニティ雑誌に,尊敬する英国の助産婦Lesley Page氏の記事を見つけ,妊婦に訴える優しい文章に感動した。その後,Page教授から教育を受ける機会を得たが,そこで渡された資料の中に,第23回ICMバンクーバー大会会場で彼女が行なった基調講演1)「助産婦よ,未来の鼓動を聞け」の原稿もあった。それを読み魂を揺り動かされるような衝撃を受け,胸が熱くなったことを覚えている。日本の助産婦の現状に閉塞感を覚え,飛び出し追い求めてきたものはこれなのだと確信した。彼女の文章は力強く説得力があり,私の心に深く染みた。
助産婦は何のために存在するのか。それは女性の幸福のためである2)。人の命を守り,育てる専門職は,限りない優しさと情熱,そして強さがなければならない。「女性と共にいる」専門職は,今まさに女性を中心に据え,寄り添い,守るためにはどうしたらよいか真剣に考える時が来ているのである。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.