特集 助産診断名の開発(Ⅰ)
産科診断と助産診断
木村 好秀
1
1前・三楽病院産婦人科
pp.689-692
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902226
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はじめに
子宮内胎児の生理や病態を客観的に把握することは,今世紀の半ばまでほとんど不可能であり,鍵穴から子宮内という暗黒の世界を覗くに等しく,極めて限られた情報しか得られなかった。しかも,このような状況は人類の誕生以来,連綿と継続していたのである。それに比して,現代のわれわれは,驚異的かつ革命的ともいえる豊富な母児の情報を得ることが可能となっている。
しかし,このような産科領域における方法論の進歩は,妊娠・分娩期における科学的,客観的データの集約とそれに基づく対応が行なわれ,マニュアル的な取り扱いを普遍化させている可能性がある。これはややもすれば,人間性不在で人の誕生を迎えることになりかねないともいえよう。
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