連載 とらうべ
私を創造する
佐藤 俊一
1
1淑徳大学社会学部
pp.269
発行日 1998年4月25日
Published Date 1998/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901906
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高度成長期からの私たちは,ほとんどの人が未来のことを考え,そこへ進んでいくことに熱中してきた.子どもたちの生活をみても,社会の評価の高い大学に入るという未来の目的のために,今の時間を使ってきた.大人たちは,将来の自分の生活設計のために今の時間を消費してきた.つまり,未来の目的のために今の時間を使い,今が大事にされていないのである.
他方で,未来の目標のために生き,頂点をきわめていくことは,そのプロセスから結果において新しいモノを創り出していること,時代や社会の主流にいることが,創造のプロセスにいるという錯覚を産み出してきたようである.欠けているのは,今を大切にしあいながら生きているのか,そのことにより,「自分自身が創造されているか」という点である.
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