特集 HIV母子感染のケア
HIV母子感染における助産婦の役割
関矢 早苗
1
1東京都立駒込病院感染症科病棟
pp.447-451
発行日 1994年6月25日
Published Date 1994/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901032
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はじめに
HIV感染症は,ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus)の感染により成立し,急性期,無症候性キャリア,ARC(AIDS関連症候群),AIDSという臨床経過をたどる(図1)。HIV感染症は,性“感染症”(STD)と免疫機能が低下していく“慢性疾患”を併せ持つ慢性感染症である。
成人にとってHIV感染症で問題になることは,性関係で自分が感染し,自分のパートナーに感染させてしまう可能性があるということである。特に女性では妊娠・分娩(あるいは人工妊娠中絶)時に大きなリスクを負うことになる。そして分娩を終えてからも,1つの慢性疾患をかかえながら,親として育児をしていくことになる。また,児は数年間にわたるフォローアップが必要であり,母子感染した場合,児は成長・発達の段階でありながらHIV感染症と闘わねばならない。
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