MEDICAL SCOPE
タイプ・アンド・スクリーン
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.256
発行日 1994年3月25日
Published Date 1994/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900989
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輸血をするときには,かならずクロスマッチ交差試験というのが行なわれ,輸血する血液と母体が適合しているかどうかを検査します。分娩に出血はつきもので,以前よりは大分減少してきましたが,今日でもときどき必要にせまられて輸血を実施します。血液型でもABO式とRh式ぐらいは妊婦全例に検査されているとは思いますが,いざ輸血となると,この血液型以外に,血液型に対する型抗体の存在が大変にややこしい関係をもつということが,今日では大きくクローズアップされてきました。
私たちの日常生活ではつねに血液型の違う者同士の接触がありますが,ことに女性には妊娠によって,自分と血液型の異なる胎児を体内に有するという事態がおこります。少量の胎児血は分娩時などに母体に侵入しますので,その胎児血に対する抗体は,妊娠・分娩をくり返す度に産生される可能性があり,そのぶん男性より数多くの抗体をもっているといえるのです。
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