MEDICAL SCOPE
母体から胎児への分娩直前におけるカルシウムの移動
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.922
発行日 1993年11月25日
Published Date 1993/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900917
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新生児学を少し勉強したことのある方は,「新生児低カルシウム血症」という名前をよく覚えていることと思います。
生後2〜3日しておこる新生児期のけいれんのひとつの原因として,血液中のカルシウムが低下した低カルシウム血症があげられており,低出生体重児や新生児仮死で出生した児にはとても重要な合併症となっています。したがって,私たちは新生児期にけいれんを示した新生児をみると,その症例の血中カルシウム値を測定して,その値が低ければカルシウム剤の投与を行ないます。このときは劇的な効果を示し,新生児のけいれんはすぐに止まり,元気に哺乳するようになります。私も何例もの経験があり,出生直後の新生児にはカルシウムは欠くことのできない大切な物質であることをしみじみと感じています。
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