私と読書
母と子にとっていい出産とは何かを考える一冊—「バース・リボーン」を読んで
高橋 小百合
pp.248-249
発行日 1992年3月25日
Published Date 1992/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900532
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わが国では戦前までのお産はほとんどが自宅分娩で,主に産婆さんが取り上げてきました。ところが戦後になって病院を始めとする施設分娩が主流になるにつれ,お産を扱う人も産婆さんから医師の手へと変わってきました。同時に産科学もめざましい進歩を遂げ,妊産婦死亡や周産期死亡率を低下させてきました。しかしその反面,「安全性」という名のもとで,妊産婦を管理し,型にはめてきたのも事実です。その結果,生命の誕生から「大切なもの」を奪い取ってきたのではないでしょうか。その「大切なもの」とは何であるかが,いま見つめ直される時がきているように思います。その糸口となるのが,この『バース・リボーン』です。
一口で言えば,本書はフランスのピティビエ病院でのお産の記録です。この病院には,「野生の部屋」という「女性たちが自分の体や心で感じたままを表現し,好きなように行動していいという自由を感じることのできる場所」があります。ここで女性たちは「本能的で自発的な出産」をしているのです。
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