特別寄稿
糖尿病の女性とそのパートナーにとっての妊娠
押山 トシ子
1,2
1杏林大学医学部附属病院産婦人科病棟
2前・東京女子医科大学糖尿病センター
pp.911-917
発行日 1991年10月25日
Published Date 1991/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900432
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はじめに
第31回日本母性衛生学会におけるシンポジウム「糖代謝異常合併妊娠の管理」で,私は妊産褥婦の看護について意見を述べた。この時,フロアーから「糖尿病であることを周囲に言いたくない患者さんへの関わり方をどうしているか」という質問をいただいた。
糖尿病患者の中には,進学や就職時,さらには結婚相手にさえ,自分が糖尿病であることを内緒にしている場合が少なくない。結婚後も夫は知っているが,夫の身内には一切話をしていないというケースも多い。しかし,このように周囲に糖尿病を隠している状況は,妊娠中に厳しく行なわれる血糖コントロールの際に,それを乱す大きな要因ともなっており,私自身もこの問題には苦慮しているところである。学童期や進学,就職に関わるこの問題は他の稿に譲ることにし,ここでは妊婦をめぐる糖尿病の公表について考えてみたい。
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